Adrian Bauman先生 オンライン特別講演


「KEIO SPORTS SDGsシンポジウム2025」にて、世界的に著名な公衆衛生学者であるAdrian Bauman先生にご登壇いただいたオンライン特別講演の動画を、特別にご本人の許可を得て公開できる運びとなりました。

身体活動促進の国際的な潮流や、システムズアプローチの実践的な意義について、深い知見と示唆に富んだご講演をぜひご覧ください。

本講演が、皆様の今後の活動や研究に少しでもお役に立てば幸いです。

特別講演
『Summary of presentation: Opportunities for systems approaches to promoting physical activity at the city and national level 』

【演者】
Emeritus Professor Adrian Bauman, Sydney University, Australia


【略歴】
Adrian Bauman AO, MB.BS MPH PhD DrMed (h.c, SDU) FACSM FAFPM FAHMS(オーストラリア、シドニー大学公衆衛生学名誉教授)は、慢性疾患予防と身体活動研究に30年以上の経験を持つ。疫学的手法に加え、疾病予防や健康増進の為の研究手法を用いる。集団がより身体的に活動的になるための支援、進捗状況を評価するためのサーベイランス、身体活動を奨励し、より多く動き、最も活動的でない人々に焦点を当てて、すべての人の座位時間を減らすための地域全体の介入に重点的に取り組んできた。現在、WHO身体活動・栄養・肥満共同センターの共同ディレクターを務め、多くの国で身体活動に関する研究、政策、ガイドライン策定に貢献している。 現在の研究テーマは、身体活動介入に関する実施科学と研究成果普及、および身体活動政策に関する研究。科学文献での発表も多く、2014年から2024年までClarivateの高被引用度研究者リストに名を連ねている。


【講演概要】
システム思考は、身体活動へのポピュレーションアプローチにおいて一般的な概念となりつつあり、WHOの身体活動に関する世界行動計画(GAPPA)の基盤となっている。GAPPAの枠組みは、活動的な社会、活動的な環境、活動的な人々、活動的なシステムという分野を統合したアプローチであり、身体活動の集団レベルを向上させるために必要なものである。
システムアプローチは、身体活動の決定要因が社会的、環境的、政策的背景の 中で生じていることを明らかにする研究に基づいている。 システムは複雑であり、市町村、地域、国レベルにおいて存在する。システムに働きかけるアプローチには、プログラムを計画し実施するための長い期間と、関係機関、利害関係者、地域社会にわたる広範なパートナーシップの構築が含まれる。初期段階では、地域社会の協議と、部門を超えた身体活動の関連性のシステムマッピングが行われる。続いて、分野横断的な計画立案、資金調達、行動の実施が行われる。システムワークは、必要なパートナーシップと 実践的アプローチが可能な自治体や市レベルで行うのが最良であることが多い。保健セクターにもメリットがあるが、他のセクター、 特に交通、都市計画、スポーツ、教育などにも多くの共益がある。
システムアプローチの評価には数年かかる場合があり、最初は身体活動(PA)プログラムの実施と到達度をモニターし、その後、身体活動の人口普及率に対す る効果を実証する。

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