第20回 SFC OPEN RESEARCH FORUM 2015にてセッション「生活習慣と認知症予防」を実施しました
2015年11月21日
慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科は、慶應義塾大学SFC研究所・湘南藤沢学会共催の第20回SFC OPEN RESEARCH FORUM 2015にて、セッション「生活習慣と認知症予防」を実施いたしました。
本セッションは、日本医療研究開発機構研究委託費により、現在神奈川県藤沢市で行われている身体活動促進の一環として開催されました。
近年、認知症予防のために、食事や身体活動といった生活習慣の重要性が見直されています。アタマとカラダの健康、健康長寿をみすえて、今私たちがすべきことは何か。長期的な視点で、地域に必要な支援は何なのかについて、各登壇者の展開している研究事例を踏まえて討議しました。
六本木ミッドタウンタワーにて開催されたセッションには、約50名が来場されました。まず、慶應義塾大学医学部精神神経科三村 將教授が「認知症予防の最前線」と題して講演しました。三村教授は、認知症のしくみや原因から予防方法などについて、最前線の研究成果を交えて解説しました。また、日ごろの生活習慣や意識により認知症を予防する効果が期待できるとお話しました。
次に、慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターである新井 康通専任講師が「食事・栄養と健康長寿」と題して講演しました。新井講師は、百歳を超えて元気に暮らす人「百寿者」の健康長寿の秘訣について、食生活の観点から解説しました。百寿者にはいろいろなものを好き嫌いなく食べ、特に魚・野菜を多く摂る人が多い傾向があると伝えました。
続いて、「身体活動・運動と健康長寿」と題し、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター・大学院健康マネジメント研究科 小熊祐子准教授が講演しました。厚生労働省の「アクティブガイド」にて推奨されている「+10(プラス・テン、あと10分多く体を動かそう)」の普及・啓発活動や、神奈川県藤沢市で実施している身体活動促進による介入調査の状況を伝えました(写真3)。藤沢市内の7団体にご協力いただいて行っている体力測定、iPadを使った認知機能調査、アンケート調査について、参加者の皆さんの様子を交えてお話しました。参加いただいている皆さんは、日ごろから「体を動かす」という共通の目的・目標をもって集まっており、それが地域のコミュニティ形成につながっていること、また、同じように「体を動かす」活動をしていても、グループによって個性があり、それぞれに合った関わり方が重要であることなどをお話しました。
最後に、「生活習慣と認知症予防 ~地域コミュニティでの働きかけの重要性」と題してパネルディスカッションが行われました。慶應義塾大学環境情報学部の秋山美紀准教授をコーディネータとして、当日講演した先生方と、慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学・大学院健康マネジメント研究科 武林亨教授を交えて、健康長寿のために大切なことについて意見交換をしました。武林教授は、大学と地域が連携した健康増進の取り組みの一例として、山形県鶴岡市の鶴岡タウンキャンパス内で市民向けに展開しているがん情報ステーション「からだ館」の活動を紹介しました。
また、ディスカッションでは地域コミュニティとの連携の重要性について検討しました。会場には、研究に参加してくださっている市民の方や、研究運営に協力してくださっているNPO団体の方も駆けつけ、日ごろの活動の状況をお話しいただきました。藤沢市明治地区にて活動している「第一ほほえみ会」の恒次 利幸氏は、研究への参加をきっかけに、メンバー皆でより積極的に運動を続けていきたいとお話しました。また、NPO法人「湘南ふじさわシニアネット」の木島 正氏は、アクティブなシニアが集まって活動していくことに難しさを感じながらも、これをおもしろさとして前向きにとらえている様子をお話しくださいました。