SFC Open Research Forum 2018 出展報告

SFC Open Research Forum 2018 出展報告

2018年12月13日

11月22日~23日、六本木東京ミッドタウンにて開催された慶應義塾大学 SFC Open Research Forum(ORF)2018に小熊・齋藤研究室がブース出展及びPitch講演で出演いたしました。ORFは、産官学連携による研究成果発表や連携推進を目的に、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスが中心となり開催するイベントで、本年で23回目になります。

当研究室では、藤沢市・藤沢市保健医療財団や関係機関と協力して藤沢市全域で展開している身体活動促進プロジェクト「ふじさわプラス・テン」の概要と成果や、2018年10月にロンドンで行われた国際学会「第7回ISPAH(国際身体活動健康学会)」での発表報告を展示しました。

写真①:「ふじさわプラス・テン」ゾーン

ORFのセッションでご講演された鈴木藤沢市長もブースにお立ち寄りくださいました。

写真②:鈴木藤沢市長、ふじキュン♡と小熊准教授

また、WHOの推進するLet’s be active. The global action plan on physical activity 2018 – 2030.の紹介や、藤沢市リーディングプロジェクト「めざせ健康寿命日本一のまちふじさわ」に関連した身体活動促進の取組み、来年6月22日~23日に日吉キャンパスで行われる日本運動疫学会の学術総会(大会長:小熊准教授)についてもPRしました。

写真③:PRゾーン

また「ふじさわプラス・テン」の健康チェックでも計測している「握力」に着目し、ブースにて実施した握力測定では、2日間で350名を超える方を計測しました。最新の握力と健康に関する論文10本を修士の学生がレビューして作成したポスターをもとに、年代平均値との比較や握力と疾病との関連を来場者の皆さんにご紹介しました。皆さん楽しみながら計測し、興味津々に話を聞いてくださり、スタッフ一同反響の大きさに驚きました。

写真④:握力ゾーン

今回のORFから新たな取組みとして始まったPitch(ステージ上で研究の魅力を聴衆に語りかけ、研究・研究者のかっこよさをPRする12分間のプレゼンテーション)では、限られた時間ではありましたが、身体活動の重要性やふじさわプラス・テン等を中心に、今Physical Activity and Public Healthの分野で注目されているテーマを発表しました。内容については講演要旨をご覧ください。

写真⑤:大盛況のPitch

2日間、自治体、保健医療関係者、企業、学生、研究室OBOGの方など多くの皆様に当研究室展示ブース並びにPitch講演にご来場頂きました。
そしてなんと、小熊・齋藤研究室ブースが今回のORF全ブース55団体のうち、来場者数第2位を記録しました。来場者第1位・2位のブースには、ORFプラチナスポンサーのシスコ様よりCisco Webex Board をご提供いただきました。今後の研究活動に存分に活用させていただきます。

写真⑥:今ホットなブース

<展示にご協力いただいた皆さま>
WHO “Let’s be active”http://www.who.int/ncds/prevention/physical-activity/gappa
藤沢市「健康のススメ」リーフレット
https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/kenko-z/kenko/kenko/kenkoseisaku/kenkonosusume.html
日本運動疫学会http://jaee.umin.jp/index.html

<Pitch講演要旨>
☆1日目
登壇者:小熊祐子准教授
タイトル:「スポーツ・身体活動のすすめ―今、世界中で必要なこと―」
【要旨】
身体活動促進に関する研究の重要性と、国内外の取り組みについて講演しました。 身体活動の健康への効果は各国で認められ、身体活動促進に関するプロモーションが行われています。しかし、不活動者の割合は一向に減らず、今も喫煙とほぼ同等の人数が世界中で命を落としています。身体活動促進は、国際連合で採択されたSDGs(持続可能な開発のための17のグローバル目標)のうち13目標に貢献しており、今、世界中で必要とされていることを紹介しました。
国内の取組みでは、厚生労働省で策定された健康づくりのための身体活動指針「アクティブガイド」があります。このメインメッセージである、「+10(今より10分からだを動かすこと)」は、身体活動レベルの低い人こそ、今より10分からだを動かす意義が大きいというエビデンスに基づいて作成されたことを紹介しました。アクティブガイドの活用例として、藤沢市で展開している「ふじさわプラス・テン」のロジックモデルに基づいたコミュニティ・ワイドキャンペーンの実施、RE-AIMを使用した評価とその成果について発表しました。
また、WHOによる身体活動についての世界的計画「MORE ACTIVE PEOPLE FOR A HEALTHIER WORLD」では、2018年から2030年まで4つの目標、1)CREATE ACTIVE SOCIETIES、2)CREATE ACTIVE ENVIRONMENTS、3)CREATE ACTIVE PEOPLE、4)CREATE ACTIVE SYSREMSと、どの国でも適用可能な20の政策を紹介しました。そして、推進には健康・スポーツの専門分野のみならず、交通や都市計画、市民社会、研究組織、コミュニティ、そして住民一人ひとりが、多分野で連携し、取り組んでいく必要があると、世界最前線の情報を解説しました。
2020年には、東京オリンピック・パラリンピックを控えています。「これを機会に、ぜひ一人ひとりが自分事として考え、体を動かし、オリンピックレガシーを残して欲しい。次の(次の)社会へ」と来場者へ訴えかけました。
☆2日目
登壇者:修士課程2年伊藤智也君
タイトル:「運動継続の秘訣!はじめようプラス・テン♪―ふじさわプラス・テンプロジェクト―」
【要旨】
「ふじさわプラス・テン」の研究活動から学んだ、体を動かすことの重要性と運動継続の秘訣について発表しました。
はじめに身体活動不足は死亡原因の第三位、年間530万人が世界で命をおとしており、「私の、皆さんの、日本の、世界の問題です」と来場者へ訴えかけました。
身体活動には疾患予防以外にも睡眠やストレスなど、健康面に様々な効果があることが明らかにされています。「ふじさわプラス・テン」研究参加者のインタビューでは、「機能的健康」、「活動的な気持ち・楽しみ」、「社会的つながり」と健康のいろいろな側面に効果があることが明らかになったことを解説しました。
運動継続の秘訣は「効果の見える化」、「周囲の環境を整える」、「気軽に楽しむ」であり、ふじさわプラス・テン研究班が作成した「グループで行う運動のすすめ方ガイド(グループ運動ガイド)」は、藤沢市の高齢者だけでなく、他世代や職場など、幅広い場で応用できることを解説しました。
発表の最後には、「キュンとするまち。藤沢」公式マスコットキャラクター、「ふじキュン♡」も登壇しました。伊藤君がリードし、ふじさわシティプロモーションテーマソング「キュンとさせるこのまちで」の音楽にのせて、来場者全員で一緒に運動すると、皆さん明るく笑顔になりました。
このORFでの思い出が、一人でも多くの方の身体活動促進に、そして楽しく健康的な生活に繋がることに期待いたします。

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